放射能に関する備忘録。

放射能に関する備忘録です。

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

セレン79

セレン元素の放射性同位体で、ウラン235の核分裂生成物として発生し、使用済み核燃料や燃料再処理廃棄物、あるいは放射性降下物から見つかります。 ベータ粒子を放出し、半減期はおよそ32万7000年。七つある長寿命核分裂生成物の一つです。 世界中の原子力発…

セリウム141、144

セリウム141と144は核分裂生成物であり、それぞれ32.5日と285日の半減期を持っています。1960年代の初め、地上核実験の放射性降下物により、日本の茨城県で採取された食品や動物の骨のサンプルから、微量のセリウム144が検出された。 1986年のチェルノブイリ…

セシウム134、135、136、137

およそ40種類あるセシウムの放射性同位体の中でも、とりわけ悪名高いのがセシウム137です。危険な核分裂生成物であり、原子炉事故や核実験によって、これまで何度も人が暮らす環境に吐き出されて来ました。 セシウム137の半減期は30年ですが、心配がいらない…

ストロンチウム89、90

ストロンチウムには三十数種類の放射性同位体がありますが、注目に値するのは二種類です。一つはストロンチウム89。これは癌治療に使用される人工放射性核種です。もう一つはストロンチウム90。原子炉内や核爆弾の爆発で生じる有害な核分裂生成物です。 人間…

スカンジウム46、47

商業用のスカンジウムは、ウランを精製する過程で副生成物として得られます。自然界に存在するのは安定同位体のスカンジウム45のみ。 人工の放射性同位体は二十数種類ありますが、ある程度の長さの半減期を持つのはスカンジウム46と、スカンジウム47の二つし…

ジルコニウム93、95

ジルコニウム元素の合金は、原子炉の燃料棒を覆う被覆管の材料になります。このため、合金中のジルコニウムが炉心からの中性子を浴びると、一部が放射性同位体のジルコニウム93に変わります。 ジルコニウム93はベータ粒子を放出し、半減期はおよそ150万年。…

職業放射線

放射線業務従事者の、通常作業時における全身被曝の線量限度は、五年間の平均で年20ミリシーベルト。単年では50ミリシーベルトとICRPが勧告している。 目の水晶体の被ばく限度は、年150ミリシーベルト、皮膚は年500ミリシーベルト、手足を年500シーベルトと…

照射線量

照射線量1レントゲンは、空気1キログラムあたりに258マイクロクーロンを発生させる線量を言います。ちなみにクーロンというのは、電気量を表す単位で、フランスの物理学者の名を取っています。

臭素77

臭素にはおよそ30種類の放射性同位体がある。その多くは厄介な核分裂生成物ですが、どれも半減期は短く、一番長い臭素77でも五十七時間程です。

シーベルト

単位としてのシーベルトは、放射線から人々を守るというまさにそのために導入されたものであり、素人が理解しておくべき最も重要な単位といっていいと思います。 測る内容はグレイと同じで、物質1キログラム当たり何ジュールのエネルギーを吸収するか。しか…

実効線量

実効線量とは、特定の生体組織の吸収する特定種類の放射線の量を指し、単位はシーベルトで表されます。アルファ粒子、ベータ粒子、X線、ガンマ線、中性子など、放射線の種類に応じて人体が受ける影響は異なります。また、当然ながら体の部位が違えば影響の…

自然放射線

世界中の大勢の人にとっては、人工放射線よりも自然放射線からの被曝量の方が大きい。本によると、アメリカでは国民の年間被曝量の82%を自然放射線が占めるそうです。 自然放射線は永遠に消えることがなく、その上にほかの放射線からの被曝が積み重ないきま…

閾値なし直線(LNT)仮説

放射線量がゼロでない限り、数値がいくつであれ人体に害を及ぼす可能性がある。「安全な線量などない」という共通認識は、「閾値なし直線(略してLNT)モデル」という数学的な「リスクモデル」によって表現されます。 この仮説では「生物学的なデータを総合的…

コバルト57、58、60

コバルトの放射性同位体で、人工的に作られたものは全部で20種類あり、なかでもコバルト57と60は、半減期が比較的長い事から、産業界で幅広い用途があるとされています。 どちらもベータ粒子と、ガンマ線の両方を放出します。特にコバルト60は強力なガンマ線…

クロム51

クロム51は人工の放射性同位体で、半減期は約81日。医療研究において、赤血球や消化管の働きを調べる放射性トレーサーとして用いられます。 原子力施設で働く人がクロム51に内部被曝したりすると、前立腺がんを発症するリスクが高まることが研究によって指摘…

グレイ

グレイは、物質が放射線をどれくらい吸収するか(吸収線量)を表す単位です。一グレイとは、同質の物質1キログラムが電離放射線から1ジュールのエネルギーを吸収することを意味します。 キュリーやベクレルとは関係がありません。その二つの単位はまったく別の…

クリプトン81、85

クリプトンにはおよそ30種類の放射性同位体があり、その殆どは半減期がごく短いので環境汚染の心配は少ないとされています。 ただしクリプトン81と85は例外です。特にクリプトン85はウラン235の核分裂生成物でもあります。つまり、昔は核実験によって大気中…

銀108m、110m

それぞれ銀108と110の準安定同位体で、原子炉事故や核実験の中から姿を現します。これは原子炉の制御棒や、その他の原子炉設備の材料に含まれる天然の銀が、中性子を浴びることで作られる。 銀110mはベータ粒子を放出し、半減期は250日。銀108mもベータ粒子…

キュリウム242、243、244

キュリウムは1944年にカルフォルニア大学のバークレー校で人工的に作られた元素です。原子爆弾に使うプルトニウムを生産しようと必死になっている時に生まれました。そのような事情故、副産物としてキュリウムが生まれたことは、長崎に原爆が投下されて第二…

キュリー

当初は10のマイナス八乗グラムのラジウムと平衡状態にあるラドンの量をもって一キュリーにしようとしたそうです。しかし、キュリー夫人から抗議を受け―― 「夫の名を称える単位にしては、扱う量があまりにも小さすぎる。ラジウム1グラムを基準にすべきだ」 当…

急性放射線症候群(ARS)

急性放射線症候群(ARS)という言葉が使われるのは、人が高線量の放射線を短時間(通常数分)で全身に浴びた場合に限る。 被曝後は線量に応じて様々な症状が現れる。これまで、1945年の広島と長崎への原爆投下や、1986年のチェルノブイリのような原子力事故から…

吸収線量

あらゆる種類の放射線が人体に同じ影響を及ぼすわけではない上、あらゆる種類の生体組織が同じように影響を受けやすいわけでもありません。 専門的に定義すると、吸収線量とは物質が単位質量(キログラム)当たりに受け取る電離放射線のエネルギー量(ジュール)…

キセノン133、135

福島第一原発の事故からは、放射性同位体のキセノン133が最大で20エクサベクレル放出された可能性があると言われれています。これは放射線降下物を除くと、希ガスの放出量としては過去最大となります。 1986年のチェルノブイリ原発事故で放出されたのは、約6…

ガンマ線

十九世紀から二十世紀への変り目。ガンマ線は三つ目の重要な放射線として発見されました。アルファ線やベータ線とは違い、粒子で出来ているのではなく、質量のない極めて高周波の電磁エネルギーの塊です。 X線もそうですが、ガンマ線は非常に透過性が高く、…

カルシウム45、47

人工の放射性同位体であるカルシウム45や47は、トレーサーとして血液に注入し、カルシウム代謝の経路を調べたり、カルシウム関連の疾患の診断に役立ったりしています。 またカルシウム45は、肥料に含まれるカルシウム成分が土壌中でどう動き、農作物にどう吸…

カリウム40

カリウムは健康な代謝の為には欠かせない元素の一つで、その0.012%ほどを放射性同位体のカリウム40が占めています。人間の体内や様々な食品から放射能が見つかるのは、このカリウム40が主な原因です。 体重70キロの成人だ異性の体内には、約140gのカリウム…

カルホルニウム252

カルホルニウムは人工の元素であり、カルフォルニア大学バークレー校の加速器で1950年に誕生しました。 カルホルニウムはプルトニウムをつくる過程で得られる副産物ですが、僅かな量しか生成されていないお蔭で、深刻な環境汚染物質にならずに済んでいます。

核分裂・核融合

19世紀最後の10年間、放射能の発見と共に物理学革命が始まったと言われています。それは、物質が何種類もの粒子から作られている仕組みが詳細に解明されたことによります。 アインシュタインの方程式「エネルギー=質量×光速の二乗」により、物質とエネルギ…

格納

格納とは様々な意味がありますが、ここで紹介する意味としては、放射性物質が原子炉周辺の環境に、漏れ出ていかないように閉じ込めることを言います。 チェルノブイリ原発の原子炉は頑丈な格納施設を持たない構造であったとされているが、福島の原子炉では、…

ガイガーカウンター

ガイガーカウンターは、物質から放出されたアルファ粒子やベータ粒子、あるいはガンマ線エネルギーの光子を捕えて、その放射線の強さを示す装置です。 なぜ「カウンター」と呼称されるかと言えば、どの粒子も全く同じ電気パルスを出すため、そのパルスを数え…