放射能に関する備忘録。

放射能に関する備忘録です。

ナトリウム22、24

ナトリウムはあらゆる動物にとって欠かせない元素の一つです。その放射性同位体であるナトリウム22は半減期が2.6年、天然ナトリウムの動き調べる為の放射性トレーサーとして利用されています。 ナトリウム24も同じようにトレーサーとして用いられ、どちらも…

トリチウム

水素にはトリチウムと呼ばれる放射性同位体があります。通常の水素の原子核は一個の陽子のみで構成されていますが、トリチウムの原子核には更に中性子が2個加わっている。 結果として質量数が3となるので、「水素3」または「三重水素」とも呼ばれています。 …

トリウム232

トリウムは自然界にウランの三倍存在し、そのほぼ全てがトリウム232です。 トリウム232は長寿命の放射性同位体で、半減期は約140億年。中性子を吸収して核分裂性のウラン233を生じるので、「親物質」と呼ばれています。 原子力技術が誕生して以来、原子炉内…

等価線量

人間の放射線被曝を考える上で、実効線量の次に大切な尺度です。どちらも単位はシーベルトだが、等価線量は放射線の種類のみを考慮に入れていて、どの臓器、あるいはどの組織が被曝したかという点には注目していません。 全身被曝をして、すべての細胞が均等…

テルル129、132

テルル132はベータ粒子を放出し、半減期は約三日。2011年3月12日、震災から丸一日と経たない内に、福島第一原発から20キロ圏内の南相馬市などで、テルル132が検出されました。これは原子炉が破損していた証拠でもあります。 テルル129も放射性同位体で、核分…

鉄55、59

鉄55は、鉄54と鉄56が中性子を浴びることで生まれます。二つは鉄つの天然同位体の中で最も量が多いので、鉄55は冷戦時代の大気圏内核実験によって、大量に発生しました。 ただし半減期が2.7年なので、危険な状態は比較的に早く終わっていると考えることも出…

テクネチウム99、99m

テクネチウム99mはテクネチウム99の準安定同位体です。これは非常に役立つ同位体で、医療用の画像診断検査全体の4分の3以上で使用されている。 半減期が6時間と短い上に、アルファ粒子やベータ粒子は出さずにガンマ線を放出するので、人体に用いるには都合が…

中性子

中性子は電気的に中性なので物質に深く入り込むことが出来るが、中性子自体が体内の分子を電離して、細胞に直に損傷を与えることはないそうです。 その代わり、中性子が水素原子の原子核に衝突することにより、その原子核がビリヤードボールのように飛んで行…

炭素11、14

炭素には数十種類の放射性同位体があるが、炭素14の半減期は5700年で群を抜いて長い物です。 炭素14はベータ粒子を放出するもののガンマ線は出さない。冷戦時代には地上核実験からも大気中に吐き出されています。 宇宙線と同じように、核融合爆弾が放出する…

タリウム201

タリウム201は半減期が約三日の放射性同位体です。心臓の運動負荷試験に放射性トレーサーとして用いられ、心臓に繋がる血管の血流を画像化するのを助けるそうです。 また画像診断のために塩化タリウムを注入されると、その放射線が自然放射線の線量を下回っ…

線量計

放射線被曝を伴う仕事をする人は、業務のあいだ携帯用の計器を身に着けて、自分が受ける放射線量を記録しているそうです。 この種の記録は放射線から身を守るのが目的ではなく、一定期間のあいだに受けた累積線量を管理するだけのものです。 X線やガンマ線…

セレン79

セレン元素の放射性同位体で、ウラン235の核分裂生成物として発生し、使用済み核燃料や燃料再処理廃棄物、あるいは放射性降下物から見つかります。 ベータ粒子を放出し、半減期はおよそ32万7000年。七つある長寿命核分裂生成物の一つです。 世界中の原子力発…

セリウム141、144

セリウム141と144は核分裂生成物であり、それぞれ32.5日と285日の半減期を持っています。1960年代の初め、地上核実験の放射性降下物により、日本の茨城県で採取された食品や動物の骨のサンプルから、微量のセリウム144が検出された。 1986年のチェルノブイリ…

セシウム134、135、136、137

およそ40種類あるセシウムの放射性同位体の中でも、とりわけ悪名高いのがセシウム137です。危険な核分裂生成物であり、原子炉事故や核実験によって、これまで何度も人が暮らす環境に吐き出されて来ました。 セシウム137の半減期は30年ですが、心配がいらない…

ストロンチウム89、90

ストロンチウムには三十数種類の放射性同位体がありますが、注目に値するのは二種類です。一つはストロンチウム89。これは癌治療に使用される人工放射性核種です。もう一つはストロンチウム90。原子炉内や核爆弾の爆発で生じる有害な核分裂生成物です。 人間…

スカンジウム46、47

商業用のスカンジウムは、ウランを精製する過程で副生成物として得られます。自然界に存在するのは安定同位体のスカンジウム45のみ。 人工の放射性同位体は二十数種類ありますが、ある程度の長さの半減期を持つのはスカンジウム46と、スカンジウム47の二つし…

ジルコニウム93、95

ジルコニウム元素の合金は、原子炉の燃料棒を覆う被覆管の材料になります。このため、合金中のジルコニウムが炉心からの中性子を浴びると、一部が放射性同位体のジルコニウム93に変わります。 ジルコニウム93はベータ粒子を放出し、半減期はおよそ150万年。…

職業放射線

放射線業務従事者の、通常作業時における全身被曝の線量限度は、五年間の平均で年20ミリシーベルト。単年では50ミリシーベルトとICRPが勧告している。 目の水晶体の被ばく限度は、年150ミリシーベルト、皮膚は年500ミリシーベルト、手足を年500シーベルトと…

照射線量

照射線量1レントゲンは、空気1キログラムあたりに258マイクロクーロンを発生させる線量を言います。ちなみにクーロンというのは、電気量を表す単位で、フランスの物理学者の名を取っています。

臭素77

臭素にはおよそ30種類の放射性同位体がある。その多くは厄介な核分裂生成物ですが、どれも半減期は短く、一番長い臭素77でも五十七時間程です。

シーベルト

単位としてのシーベルトは、放射線から人々を守るというまさにそのために導入されたものであり、素人が理解しておくべき最も重要な単位といっていいと思います。 測る内容はグレイと同じで、物質1キログラム当たり何ジュールのエネルギーを吸収するか。しか…

実効線量

実効線量とは、特定の生体組織の吸収する特定種類の放射線の量を指し、単位はシーベルトで表されます。アルファ粒子、ベータ粒子、X線、ガンマ線、中性子など、放射線の種類に応じて人体が受ける影響は異なります。また、当然ながら体の部位が違えば影響の…

自然放射線

世界中の大勢の人にとっては、人工放射線よりも自然放射線からの被曝量の方が大きい。本によると、アメリカでは国民の年間被曝量の82%を自然放射線が占めるそうです。 自然放射線は永遠に消えることがなく、その上にほかの放射線からの被曝が積み重ないきま…

閾値なし直線(LNT)仮説

放射線量がゼロでない限り、数値がいくつであれ人体に害を及ぼす可能性がある。「安全な線量などない」という共通認識は、「閾値なし直線(略してLNT)モデル」という数学的な「リスクモデル」によって表現されます。 この仮説では「生物学的なデータを総合的…

コバルト57、58、60

コバルトの放射性同位体で、人工的に作られたものは全部で20種類あり、なかでもコバルト57と60は、半減期が比較的長い事から、産業界で幅広い用途があるとされています。 どちらもベータ粒子と、ガンマ線の両方を放出します。特にコバルト60は強力なガンマ線…

クロム51

クロム51は人工の放射性同位体で、半減期は約81日。医療研究において、赤血球や消化管の働きを調べる放射性トレーサーとして用いられます。 原子力施設で働く人がクロム51に内部被曝したりすると、前立腺がんを発症するリスクが高まることが研究によって指摘…

グレイ

グレイは、物質が放射線をどれくらい吸収するか(吸収線量)を表す単位です。一グレイとは、同質の物質1キログラムが電離放射線から1ジュールのエネルギーを吸収することを意味します。 キュリーやベクレルとは関係がありません。その二つの単位はまったく別の…

クリプトン81、85

クリプトンにはおよそ30種類の放射性同位体があり、その殆どは半減期がごく短いので環境汚染の心配は少ないとされています。 ただしクリプトン81と85は例外です。特にクリプトン85はウラン235の核分裂生成物でもあります。つまり、昔は核実験によって大気中…

銀108m、110m

それぞれ銀108と110の準安定同位体で、原子炉事故や核実験の中から姿を現します。これは原子炉の制御棒や、その他の原子炉設備の材料に含まれる天然の銀が、中性子を浴びることで作られる。 銀110mはベータ粒子を放出し、半減期は250日。銀108mもベータ粒子…

キュリウム242、243、244

キュリウムは1944年にカルフォルニア大学のバークレー校で人工的に作られた元素です。原子爆弾に使うプルトニウムを生産しようと必死になっている時に生まれました。そのような事情故、副産物としてキュリウムが生まれたことは、長崎に原爆が投下されて第二…