放射能に関する備忘録。

放射能に関する備忘録です。

2015-01-01から1年間の記事一覧

急性放射線症候群(ARS)

急性放射線症候群(ARS)という言葉が使われるのは、人が高線量の放射線を短時間(通常数分)で全身に浴びた場合に限る。 被曝後は線量に応じて様々な症状が現れる。これまで、1945年の広島と長崎への原爆投下や、1986年のチェルノブイリのような原子力事故から…

吸収線量

あらゆる種類の放射線が人体に同じ影響を及ぼすわけではない上、あらゆる種類の生体組織が同じように影響を受けやすいわけでもありません。 専門的に定義すると、吸収線量とは物質が単位質量(キログラム)当たりに受け取る電離放射線のエネルギー量(ジュール)…

キセノン133、135

福島第一原発の事故からは、放射性同位体のキセノン133が最大で20エクサベクレル放出された可能性があると言われれています。これは放射線降下物を除くと、希ガスの放出量としては過去最大となります。 1986年のチェルノブイリ原発事故で放出されたのは、約6…

ガンマ線

十九世紀から二十世紀への変り目。ガンマ線は三つ目の重要な放射線として発見されました。アルファ線やベータ線とは違い、粒子で出来ているのではなく、質量のない極めて高周波の電磁エネルギーの塊です。 X線もそうですが、ガンマ線は非常に透過性が高く、…

カルシウム45、47

人工の放射性同位体であるカルシウム45や47は、トレーサーとして血液に注入し、カルシウム代謝の経路を調べたり、カルシウム関連の疾患の診断に役立ったりしています。 またカルシウム45は、肥料に含まれるカルシウム成分が土壌中でどう動き、農作物にどう吸…

カリウム40

カリウムは健康な代謝の為には欠かせない元素の一つで、その0.012%ほどを放射性同位体のカリウム40が占めています。人間の体内や様々な食品から放射能が見つかるのは、このカリウム40が主な原因です。 体重70キロの成人だ異性の体内には、約140gのカリウム…

カルホルニウム252

カルホルニウムは人工の元素であり、カルフォルニア大学バークレー校の加速器で1950年に誕生しました。 カルホルニウムはプルトニウムをつくる過程で得られる副産物ですが、僅かな量しか生成されていないお蔭で、深刻な環境汚染物質にならずに済んでいます。

核分裂・核融合

19世紀最後の10年間、放射能の発見と共に物理学革命が始まったと言われています。それは、物質が何種類もの粒子から作られている仕組みが詳細に解明されたことによります。 アインシュタインの方程式「エネルギー=質量×光速の二乗」により、物質とエネルギ…

格納

格納とは様々な意味がありますが、ここで紹介する意味としては、放射性物質が原子炉周辺の環境に、漏れ出ていかないように閉じ込めることを言います。 チェルノブイリ原発の原子炉は頑丈な格納施設を持たない構造であったとされているが、福島の原子炉では、…

ガイガーカウンター

ガイガーカウンターは、物質から放出されたアルファ粒子やベータ粒子、あるいはガンマ線エネルギーの光子を捕えて、その放射線の強さを示す装置です。 なぜ「カウンター」と呼称されるかと言えば、どの粒子も全く同じ電気パルスを出すため、そのパルスを数え…

X線

X線もガンマ線と同じように粒子ではなく、光子で出来ています。可視光のような質量のないエネルギーの塊で、電磁波として空気中を進む。 ガンマ線に比べるとエネルギーが小さいが、二つを区別する正式な境界線はないとされている。また骨は比較的密度が高い…

ウラン234、235、238

ウランは地球の土壌や水の中に広く分布する。 天然ウランには三種類がある。いずれも不安定な放射性同位体で、アルファ粒子を放出する。その殆どはウラン238であり、ほかにウラン235とごく微量のウラン234がある。 広く分布しているのは、どれも半減期が非常…

宇宙線

宇宙線はすべて大気圏外から降り注ぐ。最も高エネルギーの宇宙線になると天の川銀河の外から来るため、地球が誕生するより前に放たれている。 また宇宙線が大気中の元素と衝突すると、トリチウムや炭素14などの放射性同位体が十数種類生まれる。宇宙線が酸素…

医療放射線

医療の世界では、放射線の利用に長い歴史があります。 ですが今日では、医療で放射線が用いられるのは主に次の三つの場面です。 一つは診断のための検査。普通はX線写真が使用される。二つ目は悪性疾患の治療。この分野は放射線腫瘍学と呼ばれ、局所に狙い…

イリジウム192

イリジウムには三十種類の放射性同位体があります。 その中でイリジウム192は、強力なガンマ線とベータ線を放出します。 そのため、産業用の放射線透過検査や、放射線治療の放射線源としてしか使い道がありません。尚、自然界には存在せず、通常は原子炉内で…

イットリウム90、91

放射性同位体のイットリウム90と91は、ともに核分裂生成物であり、ベータ粒子を放出する。半減期はそれぞれ64時間と58.8日。 イットリウム90は核実験の放射性降下物や原子炉廃棄物に含まれる。その上、親核種が半減期約29年の厄介なストロンチウム90なので、…

硫黄35

硫黄35はベータ粒子を出す放射性同位体で、半減期は約88日。大気中のアルゴンが宇宙線と反応することによって自然に生み出されます。 しかし海水中に存在する安定同位体の塩素35が中性子を浴びた場合にも、硫黄35が生成されることがあります。福島原発事故の…

アンチモン122、124、125、126、127

アンチモンには三十数種類の放射性同位体があるが、ある程度の長さの半減期をもつのはこの五つだけです。 商業用の原子炉では、炉心の核分裂反応を開始させるために安定した中性子源を用います。その中性子源としてよく利用されるのが、非放射性のアンチモン…

アルファ粒子

人の健康に深刻なリスクをもたらす放射線は、全部で5種類あります。 アルファ粒子はその内の一つです。通常、アルファ粒子は人体に無害であると言われています。 しかし、何らかの理由で体内に入ると強力な発がん性を持つと考えられています。というのも、ア…

アルゴン37

放射性同位体のアルゴン37が検出されたら、地下実験が行われた証拠だと言われています。というのも、爆発で飛び散った中性子が土壌中のカルシウムに衝突したときに発生しるからです。 よって地面からアルゴン37が染み出しているのを確認出来れば、包括的核実…

アメリシウム241、243

アメリシウムは人工の元素です。 第二次世界大戦中のマンハッタン計画の中で誕生し、その後はどの家にもある煙感知機に利用されるようになりました。 またアメリシウムは原発の原子炉内で起きる核分裂反応からも生成される。その為、原発で異常事態が発生す…

アクチニウム225、227

アクチニウムは希少な元素であり、実用的な使い道は殆どない。 またアクチニウムにはおよそ30種類の放射性同位体があるが、それなりの量が産出されるのは半減期21.7年のアクチニウム227だけです。

亜鉛65

亜鉛は人体に必要な不可欠な元素です。 その放射性同位体である亜鉛65は、亜鉛代謝に関する研究で放射性トレーサーとして利用されています。ベータ粒子を放出し、半減期は約245日です。 尚、原子力施設で働く人が亜鉛65に内部被曝したり、亜鉛65汚染が疑われ…