放射能に関する備忘録。

放射能に関する備忘録です。

ヨウ素123、125、131

ヨウ素放射性同位体は体内に入ると甲状腺に集まると言われています。この甲状腺は健康を維持するためのホルモンを作っています。

 

このホルモンをつくる為には天然の要素が欠かせませんが、あいにく甲状腺は放射性ヨウ素なのか安定ヨウ素なのかを区別することが出来ません。放射性ヨウ素発がん性を持つ反面、手なずけて適量を用いれば、有益に作用させる事も出来ます。

 

原子力事故で放射線被曝した場合に大きな問題になるのが、甲状腺がんです。しかし一方で、医療の現場では半世紀以上前から放射性ヨウ素を使用して、甲状腺疾患の治療に役立ててもいます。

モリブデン99

モリブデン99は、子に当たる崩壊生成物のテクネチウム99mが核医学で広範囲に使用されているため、そこそこ知名度が高い核種の一つです。

 

モリブデン99の半減期は約66時間であり、ウラン235核分裂生成物でもあります。原子炉の中で濃縮ウラン中性子を衝突させて生成します。ヨウ素131やキセノン133といった、やはり医療で利用される放射性同位体も、副生成物としてこの過程で発生します。

ポロニウム210、214、218

ポロニウムは途方もなく強力なアルファ粒子を放出するため、知られている中で最も危険な物質と見なされています。

 

ポロニウムには30種類あまりの同位体が存在し、その全てが放射性です。ポロニウム210は天然の同位体で、半減期は約138日。広く分布するウラン238の崩壊生成物です。尚、ポロニウム214と218も、同じくウラン238の崩壊系列に属しています。

 

ウラン214と218はラドンから直に生まれる為、肺組織に沈着して周囲に強力なアルファ粒子を浴びせ、肺がんを引き起こす恐れがあります。

ホウ素、カドミウム

原子炉の起動や停止、あるいは出力の上げ下げをするときには、原子炉内の核分裂反応を制御する必要があります。その為には、炉心の核燃料に衝突す中性子の数を調整しなければなりません。

 

中性子の数は多いほど、核分裂反応は盛んになり、より多くの熱が取り出されて、より多くの電力が生まれます。

 

元素のホウ素とカドミウム中性子を強く吸収する性質を持つので、制御棒を作る耐熱合金の材料に使われています。

 

天然のホウ素にはホウ素10とホウ素11があり、どちらも放射性ではありません。しかし、ホウ素10の方が中性子を吸収する能力が高いです。

放射性廃棄物

放射性廃棄物の問題は、放射能漏れを起こすと同等か、それ以上に重大な問題といえる。原子力産業が抱える最大のアキレス腱とも言われています。

 

なにしろ使い終わった核燃料を永久に捨てておける場所がないからです。原子炉から出る高放射性廃棄物は、危険がなくなるまで何千年、あるいは何百万年も、人が暮らす環境から隔離して安全に貯蔵しておく必要があります。

 

ところが――原発が登場してから半世紀余り経ちますが、未だにその場所は存在していません。約25万トンの使用済み核燃料は、世界中の原子炉施設の敷地内で水中に保管され、事故時には様々なリスクを孕むことになります。

放射性同位体、放射性核種

二つの言葉は本質的には同じものを指しています。

 

全ての同位体放射性同位体という訳ではありません。安定した同位体も存在します。崩壊によって原子の中性子数が変化した場合、その原子は同じ元素であることに変わりはないが、別の同位体となる。

 

一つの元素に属する同位体は、どれも陽子の数は一緒で中性子の数が違う。また、化学的性質はどれも同じ。ただ、半減期や、崩壊する時に出す放射線の種類といった放射線学的な特徴が違ってくる。

放射性降下物

1945年から80年にかけて地表もしくは、地表付近で502回の核実験が行われ、その爆発エネルギーの合計はTNT火薬440メガトン相当に達したそうです。

 

この冷戦下の狂乱により、主に北半球で爆発の残骸が大気中に放り出されました。人工放射線の総量としては、未だにこれを超えるものはありません。

 

1963年に米・ソ・英の三大国が部分的核実験禁止条約を締結した後、殆どの核実験は地下に限定されました。

 

ただし、アメリカが実施した約900回の地下核実験の内、38回については放射性物質が空気中に漏れ出しています。