放射能に関する備忘録。

放射能に関する備忘録です。

崩壊生成物

放射性元素が全く異なる元素へと次々に姿を変えていくことは、今なお自然界の驚異の一つに考えられています。

 

例えば天然ウランの大部分を占めるウラン238は、地球誕生時から存在する原始放射性核種で、次の順番で9種類の異なる元素へと変化します。

 

トリウム、プロトアクチニウムラジウムラドンポロニウム、鉛、アスタチンビスマスタリウム

 

この後も変化は続き、最終的には安定した鉛になります。

ベリリウム7、10

ベリリウムには11種類の放射性同位体がありますが、殆どが存在を忘れそうな程に半減期が短いです。

 

ベリリウム10は半減期が約150年と非常に長く、ベリリウム7はもっと人間的な尺度の約53日です。どれも放射能ですが、人間に影響を与えることはあまりないと言われています。

 

何らかの脅威になるとすれば、野菜などの食物を食べることを通じて、ベリリウム7を体内に取り入れた場合です。

ベータ粒子

ベータ粒子の正体は電子です。ベータ粒子のエネルギーは分子の結合を壊すほどの力を持つ為、生きた細胞には有害です。

 

ベータ線の電子は光速に近い速さで進むので、原子核の周りを回っている普通の電子に比べて、はるかに高エネルギーです。

 

それでもベータ線を出すだけでは、不安定な原子核が安定するのに必要なエネルギーを放出し尽くせない場合がある。そこで、余ったエネルギーを吐き出す為に、ガンマ線ベータ崩壊に伴って放たれることが多いです。

ベクレル

ベクレルの前に使われていた単位はキュリーで、ラドンと関連付けられていた。新単位のベクレルは、一秒間に一個の割合で原子核が崩壊する時の放射能の量を指す。

 

これは1985年に「メートル条約」が締結され、国際度量衡局が設立された際に次のように採択された。

 

「可能なかぎり、非専門家にも単位を使用しやすくする必要があるうえ、放射線治療において重大な過誤が起きるリスクも鑑み、国際放射線単位測定委員会(ICRU)は、国際単位系の使用を放射能の研究と応用にも拡張したいと火急の要請を表明した。よって本総会は、放射能の強さを表すSI単位として次の用語を採択する。ベクレル。記号Bq」

プロトアクチニウム231

プロトアクニチウム231は、天然の放射性同位体である。プロトアクニチウム231はアルファ粒子を放出し、半減期は約3万3000年。

 

それ自体も崩壊生成物であり、ウラン235からトリウム231を経て生まれる。

 

またプロトアクニチウム231は、ウラン鉱石の処理施設や使用済み核燃料の再処理工場を汚染する原因の一つであると言われている。

プルトニウム238、239、240、241、242、244

元素を一つだけ周期表から永久追放出来るなら、プルトニウムを指名する化学者も多いそうです。しかし、人の役に立つ使い道が全くない訳ではなく、プルトニウム238は小型原子力電子に利用されて、惑星探査機に搭載されています。

 

しかしそうしたプラスの面を容易にかき消すほど、圧倒的に軍事利用され、それに伴い環境を汚染してきました。

 

1945年7月の人類初の核実験(トリニティ実験)と、翌月の長崎への原爆投下、続く数十年の盛んな大気圏内核実験――その放射性降下物からは、プルトニウムの様々な同位体が、合計10トンも世界中に撒き散らされました。

フランシウム223

フランシウムは究極の希少元素と言われています。また、フランシウム放射能が非常に強い上に、崩壊して厄介なラジウムラドンになります。

 

フランシウムの発見者はマルグリット・ペレー。後にキュリー夫人の助手となった女性です。ラジウム研究所で実験技師として、研究に必要な放射性物質の精製サンプルを作る仕事をしておりましたが、放射線を浴び続けた結果、ついにはその為に命を落としました。