放射能に関する備忘録。

放射能に関する備忘録です。

福島原発が振り撒いた放射性核種

3.11の福島第一原発による事故で放出された放射性核種は、当時の原子力安全・保安院が推定放出量を公表すると共に、31種類の名前を上げています。

 

ちなみに元素でいうと、アンチモンイットリウム、キセノン、キュリウムジルコニウムストロンチウムセシウム、セリウム、テルルネオジムネプツニウム、バリウ、プラセオジムプルトニウムモリブデンヨウ素ルテニウムの17種類となります。

ルビジウム82、87

ルビジウムは化学的な性質がセリウムやセシウムに似ています。安定同位体ルビジウム85だけであり、これが天然ルビジウムのおよそ72%を締めています。残りの約28%はルビジウム87で、こちらはベータ粒子を放出します。

 

またルビジウム82は、塩化ルビジウムとして心臓の画像診断用トレーサーに使われることあります。

ルテニウム103、106

ルテニウムウラン235核分裂生成物です。使用済み核燃料1トンにつき2キログラムあまりが含まれている。

 

ルテニウム放射性同位体のなかではルテニウム106が最も長寿命で、半減期は374日。次がルテニウム103で半減期は39日。どちらもベータ粒子を放出する。

 

ソヴィエト連邦が核大国になってから何十年ものあいだ、マヤークという名のプルトニウム製造工場からは、ルテニウムなどを含む放射性廃液がウラル山脈南部のテチャ川にそのまま垂れ流されていたことが分かっています。

臨界質量

ウラン235や233、あるいはプルトニウム239は、どれも現実的に貯蔵できる程度には安定しているが、容易に崩壊して爆発的なエネルギーを放出する。

 

これらの物質の臨界質量とは、核分裂の連鎖反応を維持できる最少の量を言う。核分裂反応がとき、物質中を移動する自由な中性子原子核と衝突し、衝突された原子核は種類の違う複数の元素の破片に分裂する。

 

この過程で新たな自由中性子と膨大な量の純粋なエネルギーが放出される。臨界質量が突き止められれば、爆発して欲しい時にだけ爆発する爆弾を設計できる。

 

原子炉でも同じようにウランプルトニウム核分裂が起きる。核分裂の過程で熱が生じて蒸気を発生させ、その蒸気がタービン発電機を回して電気を生み出す。

 

原子炉の場合、燃料となるウラン235が爆発で必要とされるほど濃縮されていないため、爆発的な速度で連鎖反応が起きることはない。

ランタン140

ランタンの放射性同位体は40種類近くありますが、安定期が非常に長くて安定しているも同然か、半減期が短すぎて瞬く間に消えるかの、どちらかしかありません。

 

ただし、ランタン140は核分裂生成物なので注目に値します。ランタン140はベータ粒子を放出し、半減期は1.68日。

 

冷戦時代の1961年にソ連が水爆実験を実施した際には、中央ヨーロッパの雪からも検出されました。2011年3月下旬には、事故を起こした福島第一原発の一号機タービン建屋地価の溜まり水から、一立方センチ当たり340ベクレルのランタン140が確認されています。

ラドン

無色、無臭、無味。語感で捉えることが出来ない驚異の典型でもあります。ラドンは放射性のガスで、殆どどこにでも存在し、平均すると自然放射線の約半分を占めています。

 

ただし30数種類あるラドン同位体のうち、環境中に多量に存在するのは、2種類のみ。ラドン222とラドン220です。

 

ラドンラジウムの崩壊生成物であり、ラジウムウランの崩壊生成物です。

 

そしてラドン同位体の中で最もも重要なのが、ラドン222です。ほぼ四日という比較的長い半減期を持ちます。

ラジウム224、226、228

20数種類あるラジウム同位体はすべてが放射性で、ウランかトリウムの崩壊生成物です。ラジウム226はウラン238から始まる崩壊系列に属し、ラジウム228と224はトリウム232の崩壊系列から生じる。

 

代表的な同位体であるラジウム226はアルファ粒子とガンマ線を放出し、半減期はおよそ1600年。ラジウム228はおもにベータ粒子を出し、半減期はおよそ5.7年。ラジウム224もやはりアルファ粒子を放出しながら、わずか3.66日で半分になる。